こちらではワタシこと“主宰“が受験した第37回介護福祉士国家試験の試験中にどのように考えて解答を導き出したのかを含めて実体験を交えた過去問解説を行なっています。今回のパートは「コミュニケーション技術」。用語の意味を抑えておけば得点できますし、それも大まかなレベルで大丈夫かとは思います。なお、それぞれのパートを通して読んでいただければ過去問1年分が学習できるかと思っています。
問題 74
次の記述のうち,利用者とのコミュニケーションの場面で用いる要約の技法として,適切なものを1つ選びなさい。
1 開かれた質問をして,利用者の気持ちを明らかにした。
2 共感しながら話を聞き,利用者の気持ちを受け止めた。
3 話の途中でうなずき,利用者の気持ちに同意した。
4 話の内容を総合的にまとめて返し,利用者の気持ちを整理した。
5 自己覚知を図り,利用者との人間関係の形成に努めた。
コミュニケーションにおける「要約」は、相手の話の「内容や意味、感情」を理解し、それを相手に「まとめて伝える」技法です。相手が安心し、話した内容が「伝わった」と感じさせる効果があり、状況を整理してすれ違いを防ぐメリットがあります。要約技法には、相手の言葉をそのまま、あるいは言い換えて返す方法と、それらを総合的にまとめて伝える方法があります。というわけで、4.が正解です。1.の「開かれた質問」とは、質問された相手が、「はい」「いいえ」だけでは答えが済まない質問のことを言います。一方、「閉じた質問」は、「はい」「いいえ」で答えが済んでしまうような質問、ほんの数語で返答ができる問いかけを言います。2.や3.も大事なことですが、要約の技法ではありませんね。5.の自己覚知は頻出ですね。改めて自己覚知とは、自分の考え、感情、価値観、行動の傾向などを客観的に理解し、自覚することと言えます。この自己理解を深めることで、感情のコントロールや、他者への適切な対応が可能になり、特に介護士などの専門職において、より質の高い支援を提供するために不可欠な能力とされています。これもズレますよね。
問題 75
次の記述のうち,利用者と家族の意向が異なるとき,家族とのコミュニケーションにおいて介護福祉職が留意すべき点として,適切なものを1つ選びなさい。
1 家族に支援方針を決めてもらう。
2 家族を通して利用者の意向を聴き取る。
3 家族と話す機会を別に設ける。
4 家族にカウンセリングを行うことを意識する。
5 家族を説得する。
1 家族に支援方針を決めてもらう。
利用者そっちのけ、ですね。違います。
2 家族を通して利用者の意向を聴き取る。
家族から得る情報もあるでしょうが、自ら聴き取りたいもんです。
3 家族と話す機会を別に設ける。
これが正解ですね。利用者と意向が異なるのなら、別途機会を設けたいものです。
4 家族にカウンセリングを行うことを意識する。
なぜ?(汗)利用者はどこへ行ったの?って感じですね。
5 家族を説得する。
説得するというのも違いますよね。行うべきは、やはり3.かと。
問題 76
Aさん(80歳,男性,要介護3)は,介護老人福祉施設に入所している。アルツハイマー型認知症 (dementia of the Alzheimer’s type)が進行している。ある日の昼食時,介護福祉職がAさんに配膳すると,「お金はこれしかありません。足りますか」と小さくたたまれたティッシュペーパーを渡してきた。このときのAさんに対する介護福祉職の対応として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 ティッシュペーパーは,口の周りが汚れたら拭くものだと伝える。
2 ティッシュペーパーが不足しているサインとして受け止める。
3 飲食店での会計の場面であると認識して対応する。
4 食事に集中するように促す。
5 小遣いの増額を家族に相談する。
1 ティッシュペーパーは,口の周りが汚れたら拭くものだと伝える。
コミュニケーションとして、この対応もいかがなものかと思いますよね。(汗)
2 ティッシュペーパーが不足しているサインとして受け止める。
ティッシュペーパーそのものの問題ではないですね。違います。
3 飲食店での会計の場面であると認識して対応する。
これが正解です。
4 食事に集中するように促す。
この対応も、何だかなぁって思いますよね。
5 小遣いの増額を家族に相談する。
こうされても、ご家族も困りますよね。それにしても、何ちゅう選択肢を。(笑)
問題 77
構音障害のあるBさんは,現在発語訓練を実施中である。ある日,介護福祉職に対して,「おあんで,あつがおごれた」と訴えた。介護福祉職は,Bさんの発語をうまく聞き取れず,「もう一度,言ってください」と伝えた。Bさんは,自身の発語で会話を続けようとしているが,介護福祉職には,その内容を十分に理解することができなかった。このときの,Bさんに対する介護福祉職の判断として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 Bさんは言葉の意味の理解に支障があるため,会話の継続は困難である。
2 発音が苦手なため,短い言葉でゆっくり話してもらう必要がある。
3 話す意欲があるため,開かれた質問が有効である。
4 発語訓練の効果がみられないため,訓練を中止する必要がある。
5 Bさんの言葉が聞き取れないため,会話を中断する必要がある。
1 Bさんは言葉の意味の理解に支障があるため,会話の継続は困難である。
それを言っては何も始まりませんよね。違います。
2 発音が苦手なため,短い言葉でゆっくり話してもらう必要がある。
発語訓練実施中とありますのでね。これが正解です。
3 話す意欲があるため,開かれた質問が有効である。
「開かれた質問」については問題74でも触れていますが、発語訓練中の方に開かれた質問は厳しいでしょう。違いますね。
4 発語訓練の効果がみられないため,訓練を中止する必要がある。
おいおい、、、って感じですね。訓練を中止してどうするねん?!と。介護福祉士にそんな権限は無いです。(汗)
5 Bさんの言葉が聞き取れないため,会話を中断する必要がある。
一旦、区切るのはともかくとしても、コミュニケーションを放棄するのは違いますよね。
問題 78
Cさん(55歳,男性)は,知的障害がある。3か月前に,施設から居宅での一人暮らしに移行し,現在は,居宅介護(ホームヘルプサービス)を利用しながら生活している。ある日,Cさんが,「ゴミ,分けて捨てるの,難しいよ」と言うので,室内に分別収集の説明書を貼って,カレンダーに収集日を書くことにした。そして,介護福祉職は,「この説明書とカレンダーを見て,捨てるといいですよ」とCさんに伝えた。その後,Cさんは努力していたが,分別できなかったゴミが少しずつ増えていった。次のうち,Cさんにかける介護福祉職の最初の言葉として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 「ゴミでいっぱいになる前に,適切に捨てられるようになりましょう」
2 「説明書とカレンダーをよく見てください」
3 「ゴミが増えてきて,気持ち悪いですね」
4 「がんばっていれば,上手にできるようになりますよ」
5 「ゴミ捨ては難しいですよね。できることをいっしょに考えましょう」
1 「ゴミでいっぱいになる前に,適切に捨てられるようになりましょう」
Cさんも努力されているので、ね。もう少し寄り添いたいもんです。
2 「説明書とカレンダーをよく見てください」
ちょっと不親切な感じがしませんか?(汗)
3 「ゴミが増えてきて,気持ち悪いですね」
それはそうなんですが、口に出すことでもない気がしますが。
4 「がんばっていれば,上手にできるようになりますよ」
下手な慰めのようにも聞こえますね。違います。
5 「ゴミ捨ては難しいですよね。できることをいっしょに考えましょう」
コミュニケーション、ですからね。これが正解でしょう。
問題 79
介護保険サービスにおける記録に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 記録に含まれないものとして食事チェック表がある。
2 介護記録は介護福祉職の意見を中心に記録する。
3 調査・研究目的で記録を利用することは避ける。
4 主観的情報と客観的事実は区別しないで記録する。
5 利用者は記録の閲覧を請求することができる。
1 記録に含まれないものとして食事チェック表がある。
食事は重要な記録の項目です。間違いです。
2 介護記録は介護福祉職の意見を中心に記録する。
“介護福祉士の意見を中心に“が引っかかりますよね。スタッフ間で共有するものなので違います。
3 調査・研究目的で記録を利用することは避ける。
調査・研究と書かれると構えてしまいますが。介護記録は法的な証拠書類でもありますので避けるものではありません。
4 主観的情報と客観的事実は区別しないで記録する。
主観と客観は区別しないと、訳がわからなくなりますので。
5 利用者は記録の閲覧を請求することができる。
スタッフ間のみならず、利用者やご家族にとっても重要なコミュニケーションツールです。これが正解です。
まとめ
何というか。。。選択肢の作り方が下手くそというか。(笑)まぁ、各問題で正解は一つということは、4つは間違いということになりますので。出題する側からすると間違い選択肢を作るのも大変ということで。以前にも触れましたが、(絶対ではないですが)例えば数字を含む選択肢って間違い選択肢であることが多いです。というのも、数字をちょこっと変えるだけで事足りますのでね。出題する側は“作りやすい“とも言えるわけです。今回は、消去法で行ってもあまり迷いなく正解を導き出せたのではないでしょうか。まぁ、正しい知識を身につけておくことが大事なことは、試験対策のためだけではないという点では重要ではありますけど、ね。
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