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(障害の理解)主宰はこう解いた!第37回介護福祉士国家試験 実体験付き過去問解説

こちらではワタシこと“主宰“が受験した第37回介護福祉士国家試験の試験中にどのように考えて解答を導き出したのかを含めて実体験を交えた過去問解説を行なっています。パートごとに分かれており、今回は「障害の理解」について解説しています。全てのパートを網羅いただければ過去問1年分が学習できるかと思っています。

問題 49

次のうち,ICF (International Classification of Functioning, Disabilityand Health:国際生活機能分類)の社会(人生)レベルに該当するものとして,正しいものを1つ選びなさい。
1 心身機能・身体構造
2 活動
3 参加
4 機能障害
5 活動制限

ICF、ですね。社会福祉士の国家試験でもよく取り上げられます。介護福祉士国家試験の方が、より深く問われる傾向にはあるようですが。そんなに難しくはないのですが、何というかスッキリしないというか。(笑)茫洋と理解はしていても、改めて聞かれると時々間違える、みたいな。まずICFは、健康状態と、三つの生活機能(心身機能・身体構造、活動、参加)と、二つの背景因子(環境因子、個人因子)から構成されています。それぞれの言葉の意味も、言ってみれば見たまんまということになるのですが、活動と参加が曖昧なところもあるでしょうかね。シンプルに、活動は「ひとりで」、参加は「みんなで」と、主宰は捉えました。

問題は、“社会(人生)レベル“に該当するものとあります。まぁ、この問題文が分かりにくいと言えばそうなのですが。(笑)ただ、上記内容を踏まえていただくと、答えは3.参加であることはお分かり頂けるかと。4.機能障害は、ICFの前の概念であるICIDH(国際障害分類)のものですしね。

問題 50

次の記述のうち,障害者のエンパワメントに関するものとして,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 障害のある人が障害のない人と同等に生活し,活動する社会を目指す。
2 専門職が主導し,障害がある人は受動的に支援を受ける。
3 障害のある人が自らの能力や長所に気づき,課題に対応する。
4 障害のある人が,主体性や人権が守られないことに耐える。
5 障害のある人が,医学的リハビリテーションを受ける。

エンパワメントが分かれば、それほど難しくはないです。エンパワメントとは、個人や集団が本来持っている力や可能性を引き出し、自己決定・自己実現できるように支援するプロセスのことで、“力を与えること“が本来のエンパワメントの意味するところであります。

これは「インクルージョン」のことでしょうか。
大切なことではありますが、ちょっとずれますよね。

“受動的に支援を受け入れる“が、いただけませんね。

これが正解です。

これは、大問題でしょう!(汗)正解であっていいはずがありません。

リハビリを受けることが間違いではないですが、エンパワメントとは違いますね。

問題 51

次のうち,クローン病 (Crohn disease)にみられる特徴的な症状として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 視力低下
2 栄養障害
3 咳嗽
4 運動失調
5 関節痛

主宰は、全くの初見でした。知らないと、どうしようもないですね。(汗)クローン病とは炎症性腸疾患のひとつで、主に小腸や大腸などの粘膜に炎症が起きることにより粘膜にびらん(粘膜がただれている状態)や潰瘍(粘膜がえぐられている状態)ができる原因不明の慢性の病気です。主な症状には、腹痛、下痢や血便、発熱、肛門付近の痛みや腫れ、体重減少などがあります。また、さまざまな合併症が発現することがあります。

これらを踏まえて、2.が正解です。(主宰は、当てずっぽうで1.を選んで撃沈しました。)
ちなみに3.の咳嗽ですが、(わざわざ振り仮名まで振ってますので)気道内に貯留した分泌物や吸い込まれた異物を気道外に排除する生体防御反応とされています。言ってみれば、まぁ、咳のことです。(笑)

問題 52

次の記述のうち,遂行機能障害の特徴として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 些細なことですぐに興奮して怒鳴る。
2 新しい知識を覚えることが困難である。
3 ぼんやりして周囲に注意を向け続けることが困難である。
4 行動を計画して実行することが困難である。
5 言葉の表出や理解が困難である。

「遂行機能障害」を文字通りそのまま解釈すれば、答えは一つしかありません。高次脳機能障害の一つとされています。とはいえ、折角ですので、他の選択肢も見ていくことにします。

これは、社会的行動障害のことでしょうか。

これは、記憶障害ですかね。

これは注意障害かと思われます。

これが正解ですね。

表出性言語障害でしょうか。

問題 53

視覚障害の特徴と視覚障害者の生活支援に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 ロービジョンは,視覚情報をまったく得られない状態である。
2 中途視覚障害者は,先天性の障害に比べて障害を受容しやすい。
3 白杖には,視覚に障害があることを周囲に知らせる役目がある。
4 視覚障害を補うために,ペットの犬と一緒に外出する。
5 視覚障害者は,ガイドヘルパーの利用はできない。

ロービジョンとは「社会的弱視」や「低視覚」などといわれます。見えにくさがあり、日常生活は送れているものの何らかの支障をきたしている状態を指します。つまり、視覚障がいとほぼ同じ意味で用いられますが、視覚障がいとの違いは、ロービジョンには「失明」を含みません。よって間違いです。

これは違いますよね。感覚的に言っても障害は受容しづらいかと。もちろん先天性の方も受容しづらいでしょうけど。

そのままですよね。これが正解です。

ペットの犬って。。。(笑)盲導犬ってのが、ちゃんとありますので。

そんな訳ないですよね。

問題 54

Aさん(76歳,女性)は,パーキンソン病 (Parkinson disease)と診断され,日常生活動作(Activities of Daily Living:ADL)は,車いすやベッド上で全介助である。最近,食事に時間がかかって嫌がるようになり,かすれ声が目立つようになった。次のうち,現在のAさんに対して介護福祉職が留意すべきこととして,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 安静時振戦
2 筋固縮
3 仮面様顔貌
4 誤嚥
5 便秘

パーキンソン病の主な症状には、安静時の手足の震え(振戦)、筋肉の硬さ(固縮)、動きがゆっくりになる(無動・寡動)、バランスが悪く転びやすい(姿勢反射障害)といった運動症状と、便秘や頻尿などの自律神経症状、不眠、抑うつ、認知機能障害などの非運動症状があります。また、仮面様顔貌と言って顔の筋肉の動きが減少し表情が乏しくなり、顔が仮面のように無表情に見えることもあります。つまり選択肢のほとんどの症状が見られるわけですが、問題文中に“食事に時間がかかる“とか、“かすれ声が目立つ“とありますので、4.が正解となります。

問題 55

聴覚障害者の特徴や支援の方法に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 要約筆記によって意思疎通を補う。
2 軽度の聴覚障害を「ろう」という。
3 フラッシュベルは周囲の音を増幅させて伝える。
4 手話は意思の伝達に役立たない。
5 両耳の聴力レベルが40dBで身体障害者手帳が交付される。

これはそうでしょう。ズバリ正解です。

「ろう」とは、聴覚障害の中でも特に重度で、医学的には両耳の聴力が100dB以上の方を指します。
よって間違いです。

フラッシュベルとは、電話の呼び出し音の代わりに、光で着信を知らせる装置や機能です。音を増幅させるわけではありません。

そんなわけありませんよね。

主宰は、この数値については知りませんでした。ただ、何度か触れましたが、数字の選択肢は間違いなことが多いと思われます。数字を変えるだけで間違い選択肢が作れてしますので。事実、この場合は70dB以上が交付対象となります。(6級)

問題 56

Bさん(24歳,男性)は,母親と二人暮らしで,小学生のときに注意欠陥多動性障害と疑われていた。Bさんは,最近になって昼夜を問わずゲームを続け,朝起きられずにアルバイトを無断で休むことが増えた。次のうち,Bさんの母親が相談する機関として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 ハローワーク(公共職業安定所)
2 難病情報センター
3 認知症カフェ
4 放課後等デイサービス
5 発達障害者支援センター

問題文中の記述から、1.と3.は明らかに違うことはわかります。難病情報センターは、難病の患者に対する医療等に関する法律に基づき、医療費助成の対象となる疾病の解説や各種制度の概要及び各相談窓口、連絡先などの関連情報を収集し提供しています。また放課後等デイサービスは、障害のある就学児童が対象の福祉サービスで、学校の放課後や夏休みなどの長期休暇中に、個々の発達段階に合わせた支援を提供するものです。よって、5.が正解です。

問題 57

次の記述のうち,「障害者差別解消法」の合理的配慮に沿った対応として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 車いすの身体障害者から,陳列棚にある商品を見せてほしいと言われたが,口頭で商品を説明した。
2 聴覚障害者の手話による注文がわからなかったので,最も人気のあるメニューを出した。
3 盲導犬を連れた視覚障害者が来店したが,動物嫌いの客から苦情を言われると思い,犬は店の中に入れないように頼んだ。
4 役所に相談に来た精神障害者から,多くの人の中だと不安になると言われたため,帰宅してもらった。
5 知的障害者から申し出があったので,会議に参加するための資料をわかりやすい言葉に直して,事前に口頭で説明した。
(注) 「障害者差別解消法」とは,「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」のことである。

合理的配慮とは、障害のある人が、障害のない人と同等の機会や権利を得られるように、「過度な負担にならない範囲で」「必要な調整や変更を行うこと」です。もちろん、当事者のわがままとも全然違います。実はこれ、社会福祉士の試験にも頻出なんです。障害者権利条約、障害者差別解消法にも大きく関わる内容です。

見せて欲しいと言われて、口頭で説明っていただけませんね。

本人の意向も何もあったものではないですね。誤りです。

これも問題のある対応ですよね。

こんな役所、訴えたくなりますね。(汗)

これが正解です。

問題 58

レスパイトケアの望ましいあり方に関する記述として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 障害者はサービスを利用せずに生活するべきである。
2 利用中,家族は自宅で休まなくてはならない。
3 家族が障害者を預けて旅行に行くことは認められない。
4 家族の休息が目的なので,障害者の施設利用は宿泊に限定される。
5 家族が休息している間も,障害者が自分らしく過ごせるようにする。

レスパイトケアとは、在宅介護や育児をしている家族が一時的に休息やリフレッシュをするために、専門家がそのケアを代行する支援サービスです。

無茶苦茶な選択肢ですね。そんな訳ないですよね。

そのような決まりはありません。

リフレッシュのためということで、問題ありませんね。

限定されるって不自然ですね。そのような決まりもありません。

これが正解です。

まとめ

このパートを担当された方の、間違い選択肢の文章は、極端なものが多いような?!全く知らなかったので手も足も出ない問題もありましたが、あとは概ね、“極端な“選択肢を除いていけば、得点しやすかったと思います。正解が一つで、間違いが4つ。間違いを作る方も大変です。(笑)

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