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(発達と老化の理解)主宰はこう解いた!第37回介護福祉士国家試験 実体験付き過去問解説

こちらではワタシこと“主宰“が受験した第37回介護福祉士国家試験の試験中にどのように考えて解答を導き出したのかを含めて実体験を交えた過去問解説を行なっています。今回は「発達と老化の理解」のパートを解説しています。全てのパートを通して読んでいただければ過去問1年分が学習できるかと思っています。

問題 31

次の記述のうち,子どもの標準的な成長として,適切なものを1つ選びなさい。
1 1歳半から2歳ごろに,ハイハイをして移動できるようになる。
2 生後9か月から1歳ごろに,指をさして自分の関心や欲求を他者に伝えられるようになる。
3 子どもが使う言葉が急に増える語彙爆発は,5歳を過ぎたころに生じる。
4 人見知りの反応は,2歳を過ぎたころに生じる。
5 イヤイヤをしてすぐに泣く行動は,第二反抗期に生じる。

ハイハイは、一般的にねんねの状態から首がすわり、寝返りをうち、
おすわりができるようになった後に始まる動作です。
ハイハイができた後は、つかまり立ち、歩行へと成長を続けていきます。
ハイハイの時期についてはあくまで個人差はあるものの、生後7〜8ヶ月頃から始まり、
10ヶ月頃には約90%の赤ちゃんが習得するのが一般的とされています。

共同注意のことを指していると思われます。
共同注意の第一段階は生後2ヶ月くらいの乳児が大人と視線を合わせるところから始まります。
社会的微笑が始まるのもこの頃です。このころは、自分と母親、自分とモノ、というような二項関係が中心です。
9ヶ月くらいの頃から共同注意の第二段階が始まるとされています。この段階では自分-対象-他者の3者間での
三項関係になってきます。このような三項関係の共同注意行動として、見て欲しいものを指す“指差し“、
母親の方を見て確認する“参照視“、対象に対する評価を大人の表情などを見て参考にする“社会的参照“を
押さえておきたいところです。

語彙爆発は、1歳半頃から、ですね。主宰は子供はいませんが、さすがにこれは違うよね、と。(笑)
間違いです。

一般的に人見知りは、生後8ヶ月から12ヶ月ごろに始まって、
2歳ごろまでには落ち着くことが多いとされています。よって間違いですね。

第二反抗期は小学校高学年から中学生の思春期に起こるとされています。
イヤイヤをしてすぐに泣く行動は、第一反抗期ですので間違いです。

問題 32

次の記述のうち,神経性無食欲症 (anorexia nervosa)に関するものとして,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 活動性が高まる。
2 学童期に最も生じやすい。
3 太ることへの恐怖はみられない。
4 低体重の深刻さを理解している。
5 多くが男性である。

主宰は、恥ずかしながら初見でした。(汗)
ただ、2.と3.と4.は違うと思いましたね。もう少し高い年齢のイメージがありますし、太ることに敏感ではあるでしょうし
低体重の深刻さを理解していれば、むしろあまり問題はないでしょうから。(笑)
となると、1.か5.ということになりますが、主宰は何故か5.を選んでしまいました。活動性が高まるというのに違和感があって。
ただ、正解は1.なんです。体重増加を回避すべく過剰な運動などの代償行動をするようになることもあるそうです。
ちなみに、好発年齢は10代が多く、90%以上が女性だそうです。近頃は、男性も増加傾向ではあるそうですが。

問題 33

Aさん(73歳,男性)は,会社の役員として勤めていたが,3年前に退職した。地域の老人クラブへの入会を勧められたが拒否している。毎年,敬老の日に記念品が配布されても,不快感を示して受け取らない。退職後も会社の状況を気にしていて,後輩とときどき連絡をとっている。Aさんは,身体が衰えることに強い不安を感じて,筋力トレーニングを毎日行っている。会社の後輩から,「いつも若々しいですね」と言われることに喜びを感じている。ライチャード(Reichard, S.)による,引退後の男性の5つの適応タイプのうち,Aさんに相当するものとして,適切なものを1つ選びなさい。
1 外罰(憤慨)型
2 内罰(自責)型
3 円熟(成熟)型
4 自己防衛(装甲)型
5 ロッキングチェアー(安楽椅子)型

社会福祉士の勉強をしていた時は、全くと言って良いほどに出てこず、介護福祉士の対策を始めてから知りました。
何気に頻出らしいです。(笑)心理学者のライチャードは現役引退後の生活への適応という観点から、高齢者を
以下のように分類しています。

1 外罰(憤慨)型・・・老化の事実を受け入れずに他人を責める
2 内罰(自責)型・・・過去を振り返って自分を責める
3 円熟(成熟)型・・・老化の事実を受け入れて、満足している
4 自己防衛(装甲)型・・・若い時の水準を守ろうとする
5 ロッキングチェアー(安楽椅子)・・・責任から解放されて、安楽に暮らそうとする

よって、4.が正解です。

問題 34

次の記述のうち,結晶性知能に関する説明として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 感覚や運動に基づく知能である。
2 過去に得た知識を活用して問題を解決する能力である。
3 40~50歳で急激に低下する。
4 知識や文化の影響よりも,生理的な老化の影響を受けやすい。
5 その場で新しい問題を解決する能力である。

結晶性知能とは、経験や教育を通して長年かけて獲得・蓄積される知識や言語能力、洞察力などです。
加齢による影響は受けにくいとされています。というか、向上することも大いにあるそう。
一方、流動性知能は、新しい情報処理のスピードや直感、新しい問題への適応力など、
経験に依存しない、生まれながらに備わる能力とされ、加齢とともにピークを過ぎて低下する傾向にあります。
よって、2.が正解です。

問題 35

次の記述のうち,加齢に伴う感覚機能の変化として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 皮膚感覚が敏感になる。
2 高音域の聴力が高まる。
3 暗順応の時間が延長する。
4 味覚が敏感になる。
5 嗅覚が敏感になる。

加齢により、感覚機能は衰えていくことが多いと言えるので、1.と4.と5.は違うと思いますね。
次に2.については、一般的には高音域から聞こえづらくなるとされているので誤りです。
3.に関しては、暗いところから明るいところへ行って目が慣れることを「明順応」、
逆に明るいところから暗いところへ行って目が慣れることを「暗順応」と言います。
一般的に「暗順応」のほうが「明順応」に比べて時間がかかりますが、高齢者は若年層よりも
さらに暗いところに目が慣れるのに時間がかかるようになります。
よって、3.が正解です。

問題 36

Bさん(74歳,女性)は,地方で一人暮らしをしている。持病はなく,認知機能の異常もない。ダンスサークルに通い,近所との付き合いも良好で,今の暮らしに満足している。最近,白髪が増え,友人との死別もあり,年をとったと感じている。ある日,一人息子(50歳,未婚)から,東京で一緒に住むことを提案された。Bさんは,「ここには知り合いがいるが,東京には誰もいない。ここが一番いい」と言った。すると息子は,Bさんに,「年をとると頑固になる。あと数年したら認知症(dementia)になるかもしれないので,自分と一緒に暮らすべきだ」と言った。次のうち,Bさんに関する記述として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 Bさんには,老性自覚はみられない。
2 Bさんには,友人との死別による悲嘆がみられる。
3 Bさんは,今,住んでいる環境や生活に適応できていない。
4 Bさんには,エイジズム(ageism) の考え方がみられる。
5 Bさんには,住み慣れた環境や仲間を喪失することへの不安がみられる。

年をとったと感じているとあるので、自覚はあります。

友人との死別はあるも、悲嘆はみられていませんね。

ここが一番いいと言っているので、適応できていないわけではないです。

エイジズムとは、年齢に基づいたステレオタイプや、偏見、差別のことです。
わかりやすく言うと、「~するには年を取りすぎている」と決めつけたり、
人が何かを物忘れしたらすぐに「年を取ったからな」と言ったりすることは、
無意識な年齢差別の表現にあたるとされています。
ただ、例文からは、そう言ったことは読み取れません。

「ここには知り合いがいるが,東京には誰もいない。ここが一番いい」と言っているので
これが正解です。

問題 37

次の記述のうち,サクセスフル・エイジング(successful aging)として,適切なものを1つ選びなさい。
1 長生きすることが,最大の目的である。
2 一人暮らしで,周囲の人と交流をしないようにしている。
3 膝に痛みがあるので,一日中ベッド上で過ごすようにしている。
4 難聴があるので,補聴器をつけてパソコン教室に通い始めた。
5 歌を上手に歌えなくなったので,カラオケに誘われても行かないようにしている。

サクセスフル・エイジングとは、「病気や障害が少なく、高い身体能力や認知機能を維持し、社会と積極的に関わりながら
生きがいを持って人生を送ること」を指します。単純に長寿というだけでなく、その生活の質の高さ(QOL)や、
生産的な活動(社会参加)が重視され、加齢に伴う変化に適応し、主体的に人生を歩むことを目指すというものです。
1.は用語の説明からは外れていますし、2.と3.と5.はネガティブというかサクセスフルとは程遠いでしょう。(笑)
4.が正解です。

問題 38

次のうち,老年症候群に直接関わる疾患として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 高血圧症(hypertension)
2 糖尿病(diabetes mellitus)
3 骨粗鬆症(osteoporosis)
4 心筋梗塞(myocardial infarction)
5 脂質異常症(dyslipidemia)

老年症候群とは、老化に伴って多くみられる症状の総称であり、後期高齢者で増えてきます。
フレイルにサルコペニア、よく聞きますね。
フレイルとは、病気ではないものの加齢によって心身が衰えた状態であり、健康な状態と要介護状態の中間に位置します。
精神的・社会的な衰弱も含めた“虚弱状態“を指す広い概念といえます。

一方、サルコペニアとは、加齢によって筋肉の量が減少し、身体能力が減少した状態です。
加齢によって筋力が落ちることで日常生活の質を低下し、歩くスピードが遅くなったり転倒のリスクが高くなったりします。
というわけで、サルコペニアはフレイルの身体的要因の一つといえます。

主宰はよくごっちゃになるのですが、ギリシャ語で筋肉を表すサルコと、喪失を表すペニアの造語らしいです。
そんな感じで区別して覚えました。

老年症候群の原因は、栄養不足や運動不足、まわりのサポートの不足が挙げられます。
また、年齢を重ねるにつれて、配偶者や友人を失い、社会的に孤立してしまうことで精神的健康が損なわれてしまうという方も
いるそうです。
選択肢を見るといろんな疾患が並んでいますが、“直接関わる“となると3.が正解です。

まとめ

個人的には社会福祉士国家試験を先に受けていたので、結構内容が被ったりして助かった箇所ではありますが、
それでも介護福祉士の試験ならではのものもあり、手間取った科目でもありました。
特に主宰は、赤ちゃんの発育過程のところがどうにも苦手でして。(笑)
出る出ないはともかく、試験の直前までイラストとかを眺めていました。
なんとなくのイメージを掴むには割と良い方法かとは思います。

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